Love me,please love me


「よっしゃぁーーー!!さすがだぜヘスペリアゲイルズ、このまま圧勝だな!!」
 私が来てからもう一時間半は経つっていうのに、ディンゴはさっきからテレビにかじりついてる。久しぶりの二人揃っての休みなのに、全然こっちを向いてくれない。
 ディンゴがアメフトの試合ーー特にヘスペリアゲイルズ戦が好きってことはわかってる。軍を抜けてカリストで働き始めた頃に、労働者たちと話すきっかけを作ってくれたのがヘスペリアゲイルズだったと、彼は目を輝かせて何度も何度も話してくれた。私はそんな彼を、とても愛しく思った。でも………。
 私がそばにいるのに、どうしてこっちを向いてくれないの?テレビが−ヘスペリアゲイルズのほうが大事なの?私を見てよ。かまってよ。
 テレビに嫉妬する自分に呆れる。でもどうしようもなく寂しくて…。ちょんと彼の服の端を摘むと、一時間半ぶりに彼がこっちを向いた。
「どうした?」
「……………」
「ケン?」
「…好き?」
「あ?」
「私のこと、好き?」
「何言って…」
「好き………?」
 せっかくディンゴがこっちを向いたというのに、私はなぜか泣きたくなって俯いてしまった。涙が零れ落ちないようにぎゅっと目を閉じる。
 すると頭に溜め息がかかった。呆れられた…?私の心はますます不安だらけになっていく。
「…好きに決まってるだろうが」
 そう言うとディンゴはテレビを消して、私を抱きしめた。
「お前、俺がテレビばっか見てるもんだから、拗ねてたんだろ」
「…違うわ」
図星なのが悔しくて、そっぽを向く。
「嘘つくな。ちゃんと顔に書いてあるぜ?…悪かった」
 ―――愛してる
 そう耳元で囁かれて、現金なことに私の機嫌はすっかりよくなった。本当は最後まで見たいだろうに、テレビを消して抱きしめてくれたのがすごく嬉しい。
 彼の首に腕を回して、軽くキスをした。
 ねえ、繰り返し繰り返し好きと言って。愛してると言って。それだけで私は、幸せだから………。





皐月アキラ様から頂戴したディンケン小説です。この甘々な感じがたまりません!ケンちゃん激可愛いですしvv
こんな彼女を一時間半も放っておくなんてディンゴったら……(嘆息) ちょっと体育館裏に来い。
「お持ち帰り下さい」との優しいお言葉に甘えて、かっぱらって参りました〜。皐月さん、ありがとうございました!


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