小ネタ1(足立と花村と千枝)※微妙にネタバレ注意


 ジュネス屋上フードコートにて、妙な組み合わせの三人が顔をつき合わせている。高校生と思われる男女二人と、スーツを着たさえない感じの男。

「……なんで僕が君たちに勉強教えてんの?」
「テスト近いんすよ! 刑事さんじゃないですか、人助けと思ってここは一つ」
「よかったあ、足立さんいてくれて〜あっ、肉おごりますから! 花村が!」
「に、肉って……いや、そういう事聞いてるんじゃなくてさ、堂島さんトコの彼に教えてもらえばいいじゃない。頭いいんでしょ? 彼」
 それを聞いた途端、花村の表情が曇る。机の上で固められた拳が震えていた。何か地雷を踏んだか、と足立が危惧した時、
「――あいつは――友情よりオンナを取ったんです」悲痛な面持ちから出て来た言葉は、余りにも場の雰囲気とはかけ離れたものだった。
「…………は?」
「ちっくしょー!! 裏切られた! 俺も遊びてえ! 青春を謳歌してー!」
 絶叫する花村に対抗するかのように、声を上げる千枝。
「ちょっと、雪子のせいみたいに言うのやめてくれる? あの子、今日すっごく楽しみにしてたんだからね!」「言ってねーよ!」ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す二人。
(なるほど、あとの二人はデートって訳ね。まあ、君たち普段は『探偵ごっこ』でお忙しいようだし)
 足立は、周囲に気付かれない程度に口の端を歪ませる。
「あのさー、僕もヒマじゃないんだけど……聞いてないか……はぁ」
 前に冗談まじりで「これでも結構いい大学出てんだよ?」などと言ったのをしっかり覚えられていたらしい。
 せめてタイムセールまでには解放して欲しいと願いながら、足立はヒートアップする二人を止めるべく再度口を開いた。


おわり



資料集に「足立はああみえてキレ者」とかあったんで、頭いい所を見たいなという願望から発生したネタ。


BACK / HOME